人はなぜ南極を目指し航海に出るのか?
冒険を求める旅行者が、南極半島の神秘と不思議を求めて船に乗るとき、その船は、単なる旅をはるかに超えた経験へと旅人をいざないます。そこから始まる旅は、生涯忘れることのない貴重な宝となることでしょう。南極を訪れる理由は様々あり、出港までに知っておくべきことも多くあります。クルーズの旅を素晴らしいものとするために、この「航海日誌」をお役立てください。
1. 南極エクスペディションクルーズ:まるで夢の世界へ
南極へ向かうということは、未知の世界に足を踏み入れ、地球の果ての果てを目指す長い船旅に出港することを意味します。地球上で人が暮らす最南端の地、アルゼンチンのティエラ・デル・フエゴ州ウシュアイアを越え、さらに南へと進む旅は、旅人自身の限界が試される旅です。人間の生活圏を離れ、類稀なる場所へ。南極が見せる様々な表情には強い魅力があります。その力は、旅に出る人々の心を驚きと感動で満たすことでしょう。
2. 偉大な探検家の足跡
イギリスの探検家、サー・アーネスト・シャクルトン。彼は没後、南ジョージア島にあるかつての捕鯨基地、グリトビケンに埋葬されています。フランス出身で極地探検の先駆者、ジャン・バティスト・シャルコー。この偉大な探検家は、ポート・ロックロイを出発しプレノー島とポート・シャルコーを経て、マルグリット湾に至る航路を進みました。同氏による最初の越冬基地跡がポート・シャルコーに今も残ります。ベルギーの探検家アドリアン・ド・ジェルラーシュ。ベルギーの南極探検隊をネコ・ハーバーへと率いた人物です。南極クルーズでは、こういった偉大な冒険家がかつて歩んだ足跡を辿ります。イギリスの私掠船船長で探検家、サー・フランシス・ドレークにちなんで名づけられたドレーク海峡の通過もまた、旅のハイライトです。
3. 世界にただ一人…を感じる旅
氷に覆われた南極半島。この遥か遠くの地に降り立つことは、まるで別の惑星に着陸するかのような体験です。最初はきっと、その光景にバランス感覚を失うことでしょう。極地の過酷な寒さに立ち向かううちに、突如、圧倒的な「何もなさ」が迫ってくるのです。しかし、人間を長年拒んできた、超自然的とも言える手つかずの世界の神秘に、だんだんと魅了されていきます。南極を経験した人の中には、その旅を神秘的でスピリチュアルな体験だったと振り返る人もいます。自然と一対一で向き合う体験。自分自身と向き合う時間。「この場所にたどり着くことができた者は、自分の魂が飛翔するのを感じるだろう」。ジャン・バティスト・シャルコーはかつてそう書き記しました。
4. 極小とも感じる人間の存在
南ジョージア島やフォークランド諸島の草地を越え、すべてを自然が支配する「白い大陸」へと船は進みます。そこに植物や木々はなく、露出した岩々を雪と氷が囲む真っ白な世界が広がります。背景に堂々とそびえるのは、南極アンデスの山々。船のデッキから見る景色も、ゾディアック・ボートから目にする風景も、息をのむほどの美しさです。ウィルヘルミナ湾に浮かぶ巨大な氷の塊、活火山の島として知られるデセプション島の黒い砂浜、かつての捕鯨基地跡、ウェッデル海やルメール海峡を流れゆく卓上氷山、船を取り囲む氷河…。壮大な自然に対し、人間の存在とはいかに小さいものか。それを実感する旅でもあります。
5. 貴重な野生動物との出会い
多くの野生動物が南極大陸に生息する理由を知っていますか?答えは、オキアミです。南極半島を囲む海には、豊富なオキアミが生息し、ザトウクジラ、ミンククジラ、ゾウアザラシ、オットセイ、ペンギンなど、南極地方を象徴する様々な野生動物のお腹を十二分に満たします。エクスペディションガイドによる案内の下、アデリーペンギン、キングペンギン、ヒゲペンギン(アゴヒモペンギン)、ジェンツーペンギンなど、様々な種類のペンギンに出会うことができるでしょう。南極大陸がくれる「プレゼント」は貴重です。ヒョウアザラシの群れが海氷を悠々と泳ぐ姿を目撃するチャンスもあるかもしれません。予想不可能だからこそプライスレスな、大自然からの贈り物です。
世界の最果ての地への素晴らしい旅、氷で覆われた広大な大陸、その壮大さを体感する旅。さあ、出発の準備はできましたか?
6. 遥か南の地へ
まずはチリ、またはアルゼンチンに向かいます。大都市サンチアゴ、あるいはブエノスアイレスの喧騒の中で夜を過ごし、翌朝、陸路でアルゼンチンのウシュアイアに移動します。ティエラ・デル・フエゴの州都であり、南米大陸南端に位置することから最果ての街と呼ばれるウシュアイア。ここから冒険が始まります。人間の暮らす地を離れ、冒険の旅へ。ウシュアイアを出港し一路南極半島を目指す航路もあれば、多様な野生動物を探しながらフォークランド諸島や南ジョージア島を回遊する絶景ルートを進むことも可能です。南極圏をさらに南へ航海する真の冒険の旅も、ポナンの最新船 ル・コマンダン・シャルコーが実現します。イギリスの私掠船船長で探検家、サー・フランシス・ドレークにちなんで名づけられた伝説のドレーク海峡を渡ります。南極を目指すすべての探検家にとっての「通過儀礼」と言えましょう!
7. すべてはタイミング
南極の神秘を訪ねるクルーズシーズンは、11月から3月の5ヶ月間に限られています。南極地方の夏季にあたるこの時期は、気温も比較的温和で、過ごしやすくなります。冬季に比べ、海氷を進む船の航行もしやすく、交配の時期を迎えるペンギンや鳥類に出会うことができるでしょう。もちろん、海や氷の状況により機会が限られることもありますが、自然が見せる美しさは計り知れません。
8.安全な航海
南極の旅には、細心の注意と極地環境に対する敬意が必要です。南極クルーズを提供するすべての旅行業者同様、ポナンは国際南極旅行業協会(IAATO)に加盟しています。これは、乗客の皆様の安全を徹底して守り、極地の自然環境に対する敬意を常に忘れないことをお約束するものです。同協会の目的は、南極観光で行われる様々なアクティビティを調整することにあります。協会メンバーには、南極条約をはじめ、安全と環境配慮(上陸人数の限定、廃棄物の取り扱い、乗客への同行、技術的安全に関する協定、自然リスクなど)に関するあらゆる条約と規則を遵守することが求められます。
9.荷造りは慎重に
南極の旅にはなくてはならない装備があります。複雑なものはありませんが、準備がなければ旅は不可能です。様々なスポットを訪れ、可能な限り間近で自然を堪能する旅には、ハイキングや野生動植物の観察のための装備が必要です。絶対に欠かせないアイテムが、防水のゴムブーツです。ふくらはぎの真ん中以上の高さがあり、滑り止め付きの底があるものがよいでしょう。人跡未踏の、不安定な場合もある陸地を散策したり、20センチの深さがある冷たい氷水の中を濡れることなく歩いたりするためです。また、トレッキングポールがあれば、不安定な地形でのトレッキングに必ず役立ちます。
足元が安定し濡れずに歩くことができれば、出会う景色とその美しさを存分に楽しむことだけに集中できます。ハイキングには、UVA及びUVB(紫外線A及びB)をカットするサングラスをお勧めします。景色をしっかり楽しみたいという場合は、高倍率の双眼鏡をご持参ください。写真愛好家の方は、200ミリのレンズがあれば、野生動物の姿を捉えるのにぴったりでしょう。また、極地は高湿です。小型の防水リュックがあれば、機材を湿気から守ることができます。
服装については、極地の過酷な気候条件を考慮しご準備ください。詳しくは、いつでもポナンへご相談ください。