ポナンは、学際的な北極システム研究における世界的リーダーであるアルフレッド・ウェゲナー研究所(以下AWI)を支援しています。
ドイツのブレーマーハーフェンに拠点を置くAWIは、北極圏の海氷の変化を観測し、気候や生態系、そして人間への影響をより深く理解することに重点を置く研究施設です。学際的な北極システム研究における世界的リーダーでもあり、同研究所の研究用砕氷船「ポーラーシュテルン」は、40年以上にもわたり、ほぼ毎年夏に北極圏を訪れています。
ポナンは、研究設備の整った砕氷船「ル コマンダン シャルコー」により、AWIが科学的データ測定を向上させるためのプラットフォームを提供し、また北極圏のシーズンを通して氷の厚さのデータも継続的に提供しています。航海中はゲストを対象に、サイエンスチームによる船上レクチャーも行われます。
ポナンによるアルフレッド・ウェゲナー研究所(AWI)の支援
・AWIの科学者が乗船していない場合
ル コマンダン シャルコーの船首には海氷計測システム(SIMS)が装備されており、氷海を通過する際に、継続的にブレーマーハーフェンのAWIとデータを収集・共有しています。また、ポナンの船上科学者チームと自然ガイドがその他のデータを取得し、最終的にはブイを設置するのに役立ちます。
・AWIの科学者が乗船する場合
研究所の科学者達の役割は、海氷の厚さ(SIMSを使用)と融解池の面積(ドローンを使用)を測定し、北極の海氷上に漂流ブイを設置することです。漂流ブイは、船が北極点に到着した後、数ヶ月間継続的に海氷と気象の測定を行います。また、ハンブルク=ハールブルク工科大学とも協力し、「ル コマンダン シャルコー」の砕氷性能を研究しています。
AWI海氷研究グループリーダー/ブレーメン大学海氷地球物理学・リモートセンシング教授 クリスチャン・ハース氏 コメント
私達にとって、ル コマンダン シャルコーが非常によく似た航路で極点まで繰り返し航海することに価値があります。北極圏においては、私達の調査船「ポーラーシュテルン」の他に、「ル コマンダン シャルコー」は代わりの船となります。氷の厚さは北極圏における海氷の状態を示す重要な指標で、気候変動の影響と、氷の厚さ変動の背後にある気温上昇や風の変化による融解などのプロセスの、両方を反映しています。
夏季の航海で氷の厚さの変化を測定することで月ごとの氷の融解状況を追跡することができ、融解期が終わる9月までに氷の厚さが最も薄くなることを知る上で役立ちます。このデータは、北極海の氷のモデリングや予測、衛星データの検証を改善するために不可欠です。
ポナン・サイエンス
ル コマンダン シャルコーは、極地探検クルーズのためだけでなく、科学研究のためにも設計されています。極地への航海中の様々な研究活動を促進するために、2つのラボ(湿式と乾式)と設備を備えています。ラボや設備は、海洋学、氷河学、海洋生物学、環境モニタリングに関する研究を含む、さまざまな研究プロジェクトに使用されています。2021年の就航以降、150人以上の科学者と60の国際プロジェクトが「ル コマンダン シャルコー」で受け入れられ、その半数は複数年にわたり研究されています。
POLARIN(極域研究インフラネットワーク)におけるポナンの支援的役割
2024年から2029年まで、ポナンは欧州連合(EU)が資金提供するプロジェクト「POLARIN(極域研究インフラネットワーク)」のパートナーとして、ル コマンダン シャルコーを提供いたします。EUが資金提供したプロジェクトARICE(北極研究砕氷船コンソーシアム)の成功に基づき、「POLARIN」は拡大施策として設立されました。「POLARIN」の目標は、極地研究およびサービスに特化したインフラの世界的ネットワークを構築し、極地の科学的課題に取り組むことです。このネットワークには、北極と南極の研究ステーション、両極で活動する研究船、観測所、データ保存施設など、補完的かつ学際的な多様なハイレベル研究インフラが含まれます。「POLARIN」は、複雑なプロセスに関する学際的研究を促進するために、これらのインフラへの統合的かつ複合的なアクセスを提供しています。
「POLARIN」には、両極地域の50の組織と79のインフラが参加しており、このネットワークには38の研究ステーション、12の船舶、18の観測所、4つのリポジトリ、7つのデータベースなど、様々な資源が含まれています。